【作例あり】”写ルンです”のレンズで自作交換レンズを作ってみた!!


GIZMONUtulensってレンズご存じですか?富士フイルムの”写ルンです”のレンズを再利用した交換レンズなのですが、「Utulensって自分の好きな形で作れるんじゃないかな?」って思いました。

今回はレンズキャップやレンズフードが装着できるオリジナルのUtulensを作ってみました。

※追記

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目次

Youtubeでも紹介してます。

使用した材料

今回自作レンズを装着したいのはα6300のため、E-マウント用に設計します。

”写ルンです”はメルカリやラクマ等のフリマアプリで使用済みのものが売っているのでレンズが欲しいだけなら安く済ませることができます。(僕は実際に写ルンですを買って、自分で使い終わったものを利用しました。写ルンですでの撮影めちゃめちゃ楽しいです。)

使用した機材

今回使用した機材をリストにしました。材料と機材があればひとまず同じものは作れると思います。

  1. ANYCUBIC Photon(光造形方式の3Dプリンター)
  2. ダヴィンチPro(FDM方式の3Dプリンター)
  3. ミニルーター
  4. アートナイフ(サポート除去用)
  5. ニッパー、ペンチ類
  6. 猫の手ステーション

自作Utulensの設計&作成

写ルンですの解体とレンズユニットの取り外し

最初に、写ルンですのレンズを摘出していきます。

ボディ下部からマイナスドライバーを突っ込み、こじ開けていきます。フィルムとレンズだけは傷をつけないように取り出しました。

”写ルンです”からフィルムと電池を取り外し

”写ルンです”の筐体を解体すると、レンズユニットが出てくるので外しとります。

レンズユニットは、1.レンズ固定(蓋)、2.レンズ、3.レンズ固定(土台)の3つの部品から構成されています。レンズ固定(土台)をアートナイフやニッパーで整形し、円形にします。

アートナイフを使って、跡をつける
ニッパーで整形

整形の最終工程で、やすりを使って加工面をきれいにしました。
整形終了後は、切粉が付着しているので水洗いしました。

整形後のレンズ固定(右上)

ボディーキャップへの穴あけ

ボディキャップの中心に直径4mmの穴をあけます。
3DCADでボディキャップの裏面にぴったりはまるような治具を設計し、FDM方式の3Dプリンターで造形します。この治具のおかげで旋盤を使わなくても真ん中に穴を開けることが出来ます。

焦点距離の調整

”写ルンです”から取り外したレンズユニットと穴をあけたボディキャップを仮止めして、焦点距離の調整を行います。この工程で、レンズユニットとボディキャップの間にどの程度の距離があればよいのかを確認します。

この時点ではだいぶ不格好ですが、厚みを少しずつ変えたスペーサーを沢山作り、一番きれいに写真が撮れる長さを模索していきます。

今回は1mm程度の厚みのスペーサ―を入れると綺麗な写真が撮れることが確認できました。

レンズ固定部品の設計と製作

先ほど確認した焦点距離を考慮してレンズ固定部品の設計を行いました。

設計したレンズ固定部品とスペーサーを光造形3Dプリンターで造形しました。
塗装を行うため、紙やすりを使って表面を綺麗にしていきます。

光造形3Dプリンターで造形したレンズ固定部品
焦点距離調整のためのスペーサー(左)とレンズ固定部品(右)
部品裏面
はめるとこんな感じ

ボディキャップ穴あけ2回目

一回目の穴あけ作業で加工した、中心の穴以外にM3サイズの穴を4つあけていきます。
こちらも専用の治具を作りました。

この穴は、レンズ固定部品とボディキャップを固定するためのネジを通すために利用します。
穴を開けるときはM4のネジor直径4mmのドリルを差し込み、中心がずれないように固定します。

製作した治具
中心にM4のネジで位置を固定、M3のネジが入るように穴あけ
加工直後の写真を撮り忘れたため、NATOブラックで塗装した写真


最初は3.2mmの穴をあけ、その後3.5mmに拡張しました。

(真ん中の直径4mmの穴も5mmに拡張しました。)

部品の塗装

光造形3Dプリンターで造形したレンズ固定部品と、ボディキャップを塗装していきます。今回メタルブラックを使用しました。レンズ付近なので、反射色はよくないかもしれないと思いましたが、同時に購入した、NATOブラックと比較して、メタルブラックの方がα6300の筐体に似合っていたので見た目重視で作りました。(そもそも自作レンズなのでそこまで考えても仕方なさそう。)

塗装過程は以下の通りです

  1. サーフェイサー 1000番
  2. サーフェイサー 1500番
  3. クレオス メタルブラックスプレー(2回)


ナットの役目を果たす部品を作る

こちらの部品はFDM方式の3Dプリンターで造形しました。素材はPETGで充填密度は50%です。(エクストルーダ240度、プラットフォーム41度に設定)M3のネジを使用するため、直径2.5mmの下穴を開けています。ほんとはネジたてをした方が良いのでしょうが、面倒なので無理やりネジをぶち込みます。

部品の組み立て

塗装を終えた部品を写真のように組み立てします。

3.厚み1.5mmのスペーサーと4.レンズ固定部品の間にレンズユニットが入ります。

左の部品から1.ナット替わりのネジ固定部品 2.加工済みボディキャップ 3.厚み1.5mmのスペーサー 4.レンズ固定部品 5.ネジ
左から順にセンサー側の部品となっている。部品の塗装が終わってないのと使用したレジン色が前の写真と違うのは気にしないで。

完成

完成です。

作例

自作レンズを使って撮影した作例を紹介します。画像の編集などは行っていません。

α6300+自作うつレンズ
α6300+自作うつレンズ (フラッシュ有)
α6300+自作うつレンズ
α6300+自作うつレンズ

レンズフード・レンズキャップ

レンズフードやレンズキャップも同様に3Dプリンターで造形しました。角型のレンズフードに憧れてたのでそれっぽく作ってみました。(光学的性能は計算してないのでお飾りですが)

レンズフード・レンズキャップは磁石の力で装着します。
自作レンズ側にはネジがつけられているので、そのネジに重なるようにマグネットを配置しました。
また、レンズフードの塗装にはNATOブラックを使用しました。(光の反射を抑えるため。)

レンズキャップもほぼ同じ設計です。

まとめ

今回は富士フイルムの使い捨てフィルムカメラ”写ルンです”のレンズを利用した自作レンズを作りました。作例を見ていただいて分かる通り、このレンズの個性である周辺減光により良い雰囲気の写真に仕上がっています。(僕は大好きです。)実際に使っていても、軽くて持ち運びやすく、トイカメラ風の写真が撮影できてとっても楽しいです。
今回製作したレンズのCADデータをBOOTHで無料配布しています。是非ご活用下さい!!
また、使用したCADは完全無料なFreeCADとなっています。ダウンロードしたデータを編集して写りを調整することも可能です。

製作前に、カメラのキタムラさんに「”写ルンです”のフィルムを自分で取り出しても現像していただけますか?」と質問したところ、「可能です。できれば、受付の際に自分でフィルムを抜き出したことをお伝えください。」とのことでした。

自作に興味がある皆さんは、思い入れのある使い捨てフィルムカメラのレンズで是非作ってみてはいかがでしょうか?

最後までご覧いただきありがとうございました。

これからも作品の投稿をしていきますので是非Twitterのフォローをしていただけると嬉しいです!!

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この記事を書いた人

yohakuのアバター yohaku メカ設計者/ブロガー

趣味はモノづくり・買い物・写真。一応ものづくり系の世界大会や国際大会に出場してます。おしゃれなモノの買い物が好きだけど、自分でも作りがち。

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